何故。
なんで。
どうして。
「なんで……?」
目の前にある、赤黒い塊。
それは愛しき両親だった。
何故こんなことに。
いや、わかってる。
何故なら彼は──彼等は見ていたから。
父と母が殺されるのを。
これは夢だ。悪夢なんだ。
そう自分に言い聞かせても、この光景は変わらない。
嗚呼──なんて嫌な夢。
早く覚めてほしい。
でも──
「これは現実だよ?」
どこからか聞こえた声に辺りを見渡すも、誰もいない。
だが、その声には聞き覚えがあった。
そうだ。
あれは──。
すると突然、白い光が彼等を包み込んだ。
-・-・-・-
ゆっくりと目を開くと、そこは見慣れた自室の天井だった。
そして、自分が泣いていることに気づく。
「(これは現実だよ、か……)」
枕元に置いてある時計を見ると、まだ起きる時間ではなかった。
再び寝ようと目を瞑るが、中々眠れない。
仕方がないと思い起き上がると、いつものように支度をして部屋を出る──とその前に。
「リオンお兄ちゃぁん、行くの?」
眠そうな声で自分を呼び止めた弟に、蒼い目で見つめ微笑みながら返事をする。
「うん、行ってきます」
彼は 春鍵リオン。
最強の"イーター"である。
今から、イーターの任務に向かう。
-・-・-・-
任務の内容はこうだ。
"人喰いの森"と呼ばれる森の奥地に住み着いた怪物を討伐すること。
その怪物の名は、"クライ"というらしい。
クライは人を喰らう。だからそれを食い止める為に、イーターが派遣されたのだ。
しかし、今回の任務は一人ではない。
二人一組で行うものなのだ。
では誰と一緒に行くのかと言うと。
「おーい。リオン!!」
見慣れた洋風の街並みを歩いていると、後ろから男の声が聞こえていた。
その男は、黄色い瞳をキラキラさせながらこちらに向かってくる。
その姿を見て思わずフッと、笑ってしまった。
相変わらずの元気さだ。
「おはよう、カイリ」
カイリも同じくイーターで、その実力はリオンとトップを争う位である。
そんな彼を、リオンは好きだった。
その元気さに、何度救われたことか。
本当に、彼と組めて良かったと思う。
するとカイリが突然立ち止まり、不思議そうに首を傾げた。
ずっと喋らないことにどうしたんだと思わているのだろうか。
そしていきなり片手で肩を掴まれる。
「ほーら、早く行くぞ」
「あぁごめん、そうだな」
今日も、二人の冒険が始まる。
「はぁー、俺もイーターになりたいなぁ」
もう一人の少年の冒険も、始まろうとしていた。
なんで。
どうして。
「なんで……?」
目の前にある、赤黒い塊。
それは愛しき両親だった。
何故こんなことに。
いや、わかってる。
何故なら彼は──彼等は見ていたから。
父と母が殺されるのを。
これは夢だ。悪夢なんだ。
そう自分に言い聞かせても、この光景は変わらない。
嗚呼──なんて嫌な夢。
早く覚めてほしい。
でも──
「これは現実だよ?」
どこからか聞こえた声に辺りを見渡すも、誰もいない。
だが、その声には聞き覚えがあった。
そうだ。
あれは──。
すると突然、白い光が彼等を包み込んだ。
-・-・-・-
ゆっくりと目を開くと、そこは見慣れた自室の天井だった。
そして、自分が泣いていることに気づく。
「(これは現実だよ、か……)」
枕元に置いてある時計を見ると、まだ起きる時間ではなかった。
再び寝ようと目を瞑るが、中々眠れない。
仕方がないと思い起き上がると、いつものように支度をして部屋を出る──とその前に。
「リオンお兄ちゃぁん、行くの?」
眠そうな声で自分を呼び止めた弟に、蒼い目で見つめ微笑みながら返事をする。
「うん、行ってきます」
彼は 春鍵リオン。
最強の"イーター"である。
今から、イーターの任務に向かう。
-・-・-・-
任務の内容はこうだ。
"人喰いの森"と呼ばれる森の奥地に住み着いた怪物を討伐すること。
その怪物の名は、"クライ"というらしい。
クライは人を喰らう。だからそれを食い止める為に、イーターが派遣されたのだ。
しかし、今回の任務は一人ではない。
二人一組で行うものなのだ。
では誰と一緒に行くのかと言うと。
「おーい。リオン!!」
見慣れた洋風の街並みを歩いていると、後ろから男の声が聞こえていた。
その男は、黄色い瞳をキラキラさせながらこちらに向かってくる。
その姿を見て思わずフッと、笑ってしまった。
相変わらずの元気さだ。
「おはよう、カイリ」
カイリも同じくイーターで、その実力はリオンとトップを争う位である。
そんな彼を、リオンは好きだった。
その元気さに、何度救われたことか。
本当に、彼と組めて良かったと思う。
するとカイリが突然立ち止まり、不思議そうに首を傾げた。
ずっと喋らないことにどうしたんだと思わているのだろうか。
そしていきなり片手で肩を掴まれる。
「ほーら、早く行くぞ」
「あぁごめん、そうだな」
今日も、二人の冒険が始まる。
「はぁー、俺もイーターになりたいなぁ」
もう一人の少年の冒険も、始まろうとしていた。