うん、実はそうなんだ。
 文芸部の友達で、私たちと同じ学年だよ。でも、教室が下の階だし知らないかもね。伊月くんは目立つから、みんな知ってるけど。
 それで晶ちゃん――新島晶ちゃんっていうんだけど、晶ちゃんも伊月くんのこと見てるうちに好きになっちゃったんだって。
 教室での伊月くんのこと教えてって言うから私もよく伊月くんのこと見るようになって……それでよく、一緒にいるから自然と視界に入るようになって……
 なんかいいなあ、好きだなあって思って、告白したんだけど……

 途中から、僕を好きになったきっかけトークになってたけど、やっぱり晶さんというあの子は伊月くんのことが好きみたい。

 それで、あのね、もしよかったらなんだけど……
 今度の水族館、晶ちゃんと伊月くんも誘わない?
 バレちゃったんなら、協力してあげて欲しいなーって。
 ダブルデート。ダメかな?


 ダメだな!


 可愛い可愛い依織さんにおねだりされたっていうのに、速攻思い浮かんだのはその言葉だった。
 でも、それをそのまま言うわけにもいかなくて、とりあえず伊月くんに聞いてみると保留にしてもらった。