△▼△
「足元にお気を付けください。これより先、部外者がこの鬼門より先に立ち入ることは固く禁じられております」
運転手の言葉にゴクリと喉を鳴らせば鬼門の先を見つめる。
特に変わった様子は先の光景に見えない。
鬼門とはいえど、ここも他の神社と何ら変わりはないように見えるからだ。
赤い大きな鳥居が構える正面の入口。
そこから直ぐ先に現れた奥へと続く長い石段。
石段の両側には桜が咲き乱れていた。
「不思議…冬なのに桜が咲いている」
昨日の夜から降り続けている雪の影響で道は塞がっている。着物だって着ているから足幅もだいぶ狭く行動範囲が限られているのに対して、ここだけは桜が咲き誇り満開だった。
「ここは特殊な空間ですからね。この先には妖が住まう隠世が形成されている訳ですから。我らのような特別な異能を持つ術家の人間でもない限り、この場所は本来一般人が見つけることは不可能です」
「そうなのですか⁈」
「霊感があるだけではダメなんです。この場所は本来、両世界においてとても重要な役割を果たす境の場でもありますから。何かの拍子に結界が崩れたとなっては大変です。その為その昔、妖王ご自身が強力な妖力を使いこの結界を施したともされています」
成程…道理で人の気配を感じないわけだ。
ここが現世と隠世を結ぶ境に位置する場所と知らなければ、観光客が集まっても可笑しくないほど素敵な場所なのに。
冬に咲き乱れる桜なんて幻想的だ。
「桜は季節関係なく永遠に枯れず咲き続けています。日本を象徴する花の一つに桜が挙げられているのは時雨様もご存知でしょう。雛祭りで桃の花が飾られているように、桜にも魔除けや邪気払いをしてくれる効果があるのです。隠世に住まう妖が何かの拍子に鬼門の地に近づかぬよう、妖王が結界を造ったのと同時に現世の王は桜を植えられたのですよ」
「随分詳しいんですね」
「ええ、まあ…。腐っても私も久野家の分家にあたる身。久野家をお従いする役目を担うことこそ、私に与えられた使命ですから」
「足元にお気を付けください。これより先、部外者がこの鬼門より先に立ち入ることは固く禁じられております」
運転手の言葉にゴクリと喉を鳴らせば鬼門の先を見つめる。
特に変わった様子は先の光景に見えない。
鬼門とはいえど、ここも他の神社と何ら変わりはないように見えるからだ。
赤い大きな鳥居が構える正面の入口。
そこから直ぐ先に現れた奥へと続く長い石段。
石段の両側には桜が咲き乱れていた。
「不思議…冬なのに桜が咲いている」
昨日の夜から降り続けている雪の影響で道は塞がっている。着物だって着ているから足幅もだいぶ狭く行動範囲が限られているのに対して、ここだけは桜が咲き誇り満開だった。
「ここは特殊な空間ですからね。この先には妖が住まう隠世が形成されている訳ですから。我らのような特別な異能を持つ術家の人間でもない限り、この場所は本来一般人が見つけることは不可能です」
「そうなのですか⁈」
「霊感があるだけではダメなんです。この場所は本来、両世界においてとても重要な役割を果たす境の場でもありますから。何かの拍子に結界が崩れたとなっては大変です。その為その昔、妖王ご自身が強力な妖力を使いこの結界を施したともされています」
成程…道理で人の気配を感じないわけだ。
ここが現世と隠世を結ぶ境に位置する場所と知らなければ、観光客が集まっても可笑しくないほど素敵な場所なのに。
冬に咲き乱れる桜なんて幻想的だ。
「桜は季節関係なく永遠に枯れず咲き続けています。日本を象徴する花の一つに桜が挙げられているのは時雨様もご存知でしょう。雛祭りで桃の花が飾られているように、桜にも魔除けや邪気払いをしてくれる効果があるのです。隠世に住まう妖が何かの拍子に鬼門の地に近づかぬよう、妖王が結界を造ったのと同時に現世の王は桜を植えられたのですよ」
「随分詳しいんですね」
「ええ、まあ…。腐っても私も久野家の分家にあたる身。久野家をお従いする役目を担うことこそ、私に与えられた使命ですから」



