「須藤、帰り暇?一緒に行きたいところがあるんだけどー」
放課前、ニコニコした浅井がそう一言言って自分の席に戻っていった。
桜が舞い終わり、緑が豊かになってきた頃。同じクラスになってから、初めて浅井に声を
かけられた。
浅井はクラスの中心にいる、いわゆる陽キャ。いつも笑顔で、元気で周りを明るくする力があると感じる。
クラスの中心なんて、縁遠いし似合わないから近づきたいと思ったことはないけれど、同じ教室という空間にいれば嫌でもクラスメイトのことを覚える。だから、浅井をよく知っている。
しかし、なぜ誘われたのだろう?
何か恨みを買うようなことをしただろうか。浅井は自分のことをあまりよく知らないだろうから、趣味が合うという理由はないはずで。
結局、放課後まで検討がつかなかった。
「ごめん、須藤!遅くなった!」
「いや、大丈夫です。ところで、どこ行くんですか?」
少し声が震えた。自分の緊張が滲み出ている気がする。
「駅前の喫茶店。あそこのパフェ美味しいんだよねー」
浅井の目が輝いていた。
浅井には自分の緊張が伝わっていないようだ。
「須藤、なんで敬語で話すの?同じクラスメートじゃーん?」
同じクラスでも浅井と自分では立場が違うからなんて、言えるはずない。
「まあいいや。あ、あった!」
「須藤何飲む?」
「アイスコーヒー。浅井は?」
「やっぱフルーツパフェにクリームソーダ一択!すみませーん注文いいですかー?」
このコミュニケーション力、躊躇いなく動ける行動力、自分には到底真似できない。
「でさ、えっと、今日須藤を誘った理由なんだけど」
急な展開に、息を呑んだ。
「須藤、なんでいつも怯えてるの?言いたくなかったらいいんだけど、なんでかなーって気になってるんだよねー」
なぜか浅井なら何を話しても受け止めてくれそうな気がして、怖いなんて思わなかった。気づけば口が勝手に動いていた。
「そんなに感情って伝わるものなんだな。人の目。いつもあの瞳に何か悪いものが隠れているような気がする。分かる?」
「分かんないや」
浅井は笑ってみせた。
放課前、ニコニコした浅井がそう一言言って自分の席に戻っていった。
桜が舞い終わり、緑が豊かになってきた頃。同じクラスになってから、初めて浅井に声を
かけられた。
浅井はクラスの中心にいる、いわゆる陽キャ。いつも笑顔で、元気で周りを明るくする力があると感じる。
クラスの中心なんて、縁遠いし似合わないから近づきたいと思ったことはないけれど、同じ教室という空間にいれば嫌でもクラスメイトのことを覚える。だから、浅井をよく知っている。
しかし、なぜ誘われたのだろう?
何か恨みを買うようなことをしただろうか。浅井は自分のことをあまりよく知らないだろうから、趣味が合うという理由はないはずで。
結局、放課後まで検討がつかなかった。
「ごめん、須藤!遅くなった!」
「いや、大丈夫です。ところで、どこ行くんですか?」
少し声が震えた。自分の緊張が滲み出ている気がする。
「駅前の喫茶店。あそこのパフェ美味しいんだよねー」
浅井の目が輝いていた。
浅井には自分の緊張が伝わっていないようだ。
「須藤、なんで敬語で話すの?同じクラスメートじゃーん?」
同じクラスでも浅井と自分では立場が違うからなんて、言えるはずない。
「まあいいや。あ、あった!」
「須藤何飲む?」
「アイスコーヒー。浅井は?」
「やっぱフルーツパフェにクリームソーダ一択!すみませーん注文いいですかー?」
このコミュニケーション力、躊躇いなく動ける行動力、自分には到底真似できない。
「でさ、えっと、今日須藤を誘った理由なんだけど」
急な展開に、息を呑んだ。
「須藤、なんでいつも怯えてるの?言いたくなかったらいいんだけど、なんでかなーって気になってるんだよねー」
なぜか浅井なら何を話しても受け止めてくれそうな気がして、怖いなんて思わなかった。気づけば口が勝手に動いていた。
「そんなに感情って伝わるものなんだな。人の目。いつもあの瞳に何か悪いものが隠れているような気がする。分かる?」
「分かんないや」
浅井は笑ってみせた。