エイリーンの亡骸を抱えたコウルは神社に向かう。
エイリーンのことをエイナールに報告しなければならない。その一心で。
神社に着くが、よく考えたらコウルはそこからの異世界の行き方を知らなかった。
「……」
コウルはただ無言で立ち尽くす。
するとその時だった。光が広がり、コウルの目の前にエイナールが現れる。
「エイナール……様」
「コウル……」
「う、うわあああっ!」
コウルは泣いた。エイナールの前で。泣き続けた。涙が枯れるまで。
「……すみません。みっともないところを」
「いえ……いいのですよ」
コウルはエイナールに、そっとエイリーンの亡骸を渡した。
「ああ、エイリーン……」
「本当にすみませんでした!」
コウルは謝る。それになんの意味がなくとも。
「いいのですよ。コウル。これも運命のひとつですから」
エイナールも涙を流しながら言った。
「運命……なんて……!」
「人の死は運命です。ただ今回がエイリーンの運命だったのです」
コウルは怒りたかった。運命の一言で片付けて欲しくないと。
だが守れなかったのは自分。そう考えると何も言えなかった。
「エイリーンはどうなるのです?」
「人間と同じです。魂となり輪廻の輪をくぐりまた生まれ変わる。それだけです」
「そうですか……」
エイナールはコウルにとてつもないことを聞いた。
「コウル、あなたは死にたいですか」
「!」
「エイリーンの後を追いたいのですか」
コウルはハハッと笑った。
「そうですね、死にたいですよ。死ねるなら。でも……」
コウルはどこからか闇の宝玉を取り出した。
「こいつの問いに答え、力を求めてしまったんです。あの場で大佐に殺されることもできたのに。そして無駄な惨殺もしてしまった。こんな僕にエイリーンを追う資格はありません」
「そうですか……。ではこれからどうするのです?」
「良ければエイナールでゆっくりしたいと思います。許されますか?」
「ええ、あなたが望むなら……」
エイナールは手をかざした。コウルを光が包む。
「これは……」
「コウル……実はエイナールが終わりに近いのです」
「な!?」
「そのためにあなたにお願いがあります。過去へ行きエイリーンとあなた自身を導いて欲しいのです」
「それは一体……」
「いずれわかります。それまでどうか生き続けてください。わかりましたね?」
「エイナール様っ!」
そう言うときにはもうコウルは消えていた。
残されたエイナールも消えていく。
「頼みましたよ。コウル……」
「う、うん? ここは一体……」
「目が覚めたようだね」
そこにいたのは長身、眼鏡をかけた男。
「マスターさん!」
「おや、私のことを知っている? 会ったことがあるかな?」
「え、だってマスターさんは、僕たちに助言をくれて……」
そのときコウルは思い出した。エイナールが言っていたことを。
『過去へ行き導いて欲しい』
(ここは……過去?)
「どうした? 大丈夫かな?」
「は、はい。」
コウルはマスターに事情を説明する。
「なるほど。そんなことが……」
「信じてくれるんですか?」
「もちろんだ。そういうのが私の分野だからね」
「はあ……」
コウルにはよくわからない。
「さて、じゃあ君の名を決めないとね」
「え、名前はコウルですけど」
マスターは首を横に振った。
「別名だよ。過去にきたということは、後々、本人と出会うことになる。その時の名だ」
「名前……」
そして一人の人物を思い浮かべた。
「リヴェナール……」
「ほう?」
「リヴェナール……リヴェルでどうです?」
「いい名前だと思うよ。リヴェル」
こうして過去に来たコウルは、リヴェナール……リヴェルとして新たな生を歩むのだった。
エイリーンのことをエイナールに報告しなければならない。その一心で。
神社に着くが、よく考えたらコウルはそこからの異世界の行き方を知らなかった。
「……」
コウルはただ無言で立ち尽くす。
するとその時だった。光が広がり、コウルの目の前にエイナールが現れる。
「エイナール……様」
「コウル……」
「う、うわあああっ!」
コウルは泣いた。エイナールの前で。泣き続けた。涙が枯れるまで。
「……すみません。みっともないところを」
「いえ……いいのですよ」
コウルはエイナールに、そっとエイリーンの亡骸を渡した。
「ああ、エイリーン……」
「本当にすみませんでした!」
コウルは謝る。それになんの意味がなくとも。
「いいのですよ。コウル。これも運命のひとつですから」
エイナールも涙を流しながら言った。
「運命……なんて……!」
「人の死は運命です。ただ今回がエイリーンの運命だったのです」
コウルは怒りたかった。運命の一言で片付けて欲しくないと。
だが守れなかったのは自分。そう考えると何も言えなかった。
「エイリーンはどうなるのです?」
「人間と同じです。魂となり輪廻の輪をくぐりまた生まれ変わる。それだけです」
「そうですか……」
エイナールはコウルにとてつもないことを聞いた。
「コウル、あなたは死にたいですか」
「!」
「エイリーンの後を追いたいのですか」
コウルはハハッと笑った。
「そうですね、死にたいですよ。死ねるなら。でも……」
コウルはどこからか闇の宝玉を取り出した。
「こいつの問いに答え、力を求めてしまったんです。あの場で大佐に殺されることもできたのに。そして無駄な惨殺もしてしまった。こんな僕にエイリーンを追う資格はありません」
「そうですか……。ではこれからどうするのです?」
「良ければエイナールでゆっくりしたいと思います。許されますか?」
「ええ、あなたが望むなら……」
エイナールは手をかざした。コウルを光が包む。
「これは……」
「コウル……実はエイナールが終わりに近いのです」
「な!?」
「そのためにあなたにお願いがあります。過去へ行きエイリーンとあなた自身を導いて欲しいのです」
「それは一体……」
「いずれわかります。それまでどうか生き続けてください。わかりましたね?」
「エイナール様っ!」
そう言うときにはもうコウルは消えていた。
残されたエイナールも消えていく。
「頼みましたよ。コウル……」
「う、うん? ここは一体……」
「目が覚めたようだね」
そこにいたのは長身、眼鏡をかけた男。
「マスターさん!」
「おや、私のことを知っている? 会ったことがあるかな?」
「え、だってマスターさんは、僕たちに助言をくれて……」
そのときコウルは思い出した。エイナールが言っていたことを。
『過去へ行き導いて欲しい』
(ここは……過去?)
「どうした? 大丈夫かな?」
「は、はい。」
コウルはマスターに事情を説明する。
「なるほど。そんなことが……」
「信じてくれるんですか?」
「もちろんだ。そういうのが私の分野だからね」
「はあ……」
コウルにはよくわからない。
「さて、じゃあ君の名を決めないとね」
「え、名前はコウルですけど」
マスターは首を横に振った。
「別名だよ。過去にきたということは、後々、本人と出会うことになる。その時の名だ」
「名前……」
そして一人の人物を思い浮かべた。
「リヴェナール……」
「ほう?」
「リヴェナール……リヴェルでどうです?」
「いい名前だと思うよ。リヴェル」
こうして過去に来たコウルは、リヴェナール……リヴェルとして新たな生を歩むのだった。