私の朝は、けたたましいアラームの音と共に始まる。

「んん……うるさ」

うめき声を上げながらどうにか重い身体を動かし、音を止めた。

朝はそんなに強い方じゃないからいつも数分おきにアラームが鳴るように設定している。

……おかげさまで私の耳は毎日悲鳴を上げているけれど。

すっと起きれる人間になりたかったな、なんて思いながらのそのそと朝の支度を始めた。

今日は美久とカフェに行く予定もあるし少しおしゃれしていこう。

洗顔と歯磨き、朝ごはんを済ませてお父さんのお見舞いに持っていく荷物を準備する。

服は何を着て行こうか。

クローゼットやタンスを一通り見たあと、何着かに絞ってさらに思考を重ねる。

「よしっ、決めた」

今日はこれで行こう。

シンプルな白のワンピースと白のサンダル。暑い時期には最適な格好だろう。

最後に軽くメイクを施し、主張の激しすぎないネックレスをつけて。

……これで完璧。

鏡の前でくるりと回って変なところがないか最終確認をする。

腰のあたりまで伸ばした髪の毛がふわりと舞い、どこかの映画に出てきそうなワンシーンが完成した。

もしかして、私ってば映画のヒロインになれちゃったりして?

うそうそ、さすがに冗談。

調子に乗るのもそこそこに、お気に入りのカバンを肩にかけて私は病院へと向かう。

——今日はなんだかいい日になりそうな予感がした。