テストも無事に終わった数日後の昼休み。



 今日は弁当を持ってきていない。

 なのでパン購買。


 今、パンを買いに行くため教室を出た。


「結菜ちゃん」


 教室を出て少し歩いたところで。

 ばったり。

 会った、拓生くんと。


「拓生くん」


「ちょうどよかった。
 今、結菜ちゃんのクラスの教室に行くところだったんだ」


「そうだったんだ。
 ちょうどいいタイミングで会ったね」


 拓生くんとは。
 一輝くんも一緒に三人でカフェでお茶をした。
 それ以来、会話はしていない。

 だから。
 拓生くんと話す。
 それは、ちょっと久しぶりになるのかな。


「それでさ、
 いつも急に訊いて悪いんだけど、
 今日の放課後、時間ある?」


「うん、あるよ」


 あっ。

 言ってしまった、つい。
『時間がある』と。



 どうしよう。

 拓生くんと二人で会ってほしくない。
 そう言われている、一輝くんに。


 それなのに。
 言ってしまった。
『時間がある』と。

 だけど。
『やっぱり時間がない』
 言えない、そんなこと。