七月下旬。

 梅雨明けした。
 それと同時に蝉も鳴き始め。
 本格的に暑くなり。
 夏本番を迎えている。


 学校は夏休みに入ったばかり。



 夏休みということで。
 私と一輝くんと彩月は実家に帰ってきている。







 そして今。
 一輝くんと一緒に地元のお祭りに来ている。


 時刻は二十時を回ったところ。


「結菜ちゃん、
 今から行きたいところがあるんだ」


 そのとき。
 一輝くんは私の手を握り。
 連れて行く、どこかへ。



「着いた。
 ここ穴場スポットらしいよ」


 しばらく歩き。
 着いた場所。

 そこは地元の公園の中でも、ほとんど人が入ってこないところ。



 周りには花や木がたくさんある。

 風がやさしく吹いていて。
 花や木の葉をやさしく揺らしている。


 とても穏やかで美しい空間。
 そう感じ思う。


「よかった、間に合った」


 感動している、自然の美しさに。

 そのとき。
 ほっとしたようにそう言った、一輝くん。


「間に合ったって?」


 どういうことだろう。


「もう少し。
 それまでのお楽しみ」


 一輝くんは無邪気な笑顔をしている。



 もう少し?
 お楽しみ?

 わからない、さっぱり。
 何のことなのか。


 そう思う。
 だけど。
 待つ、楽しみに。

 そういうのもいいかもしれない。
 そう思った。