「なんだ、咲香」
『ねぇねぇ? 宗―。唯と友也をふたりにしてあげようよ』

 友也に聞こえないように私はそっと宗に告げた。宗はすごく満足そうに頷く。

「ナイスアイデア」
『でしょ。えへへ』

 私達は悪ガキみたいに笑って言った。

「ごめん友也、唯。俺と咲香はちょっと屋台に戻るから、先行ってろ。飲み物飲みすぎてもうないから買い直す」

 そういえばさっきお茶一気飲みしてたなー。喉乾いてるのかと思ってたけど、同じこと考えてたのか。

「あ、え? うん。わかったよ。宗。行こう渋沢」

 唯が友也を手招きして言った。

「は!? ……ああ。わかったよ。行くぞ、気をつけろよ? 宮嶋」
「うん。じゃあ、後であたしのスマホに連絡してー」
「おー。よろしくな宮嶋。じゃ」

 歩き出すふたりを見届けて、私たちはニヤリと笑う。

「本当に、お似合いだよなアイツら」

 小さめの声で宗がはしゃぎ気味に言った。

『わかる。わかりすぎる』

 私も空を飛び回りながら言う。

「友也は素直じゃないけどいいやつだからなー」
『逆に唯は割と好意は素直に表現するからお似合いなんだよなー』

 まるで女子高生のように、私達はわちゃわちゃ語る。
 見た目も長身同士で華やかな美男美女だし、本当お似合い。
 ふたりが両思いになればいいのに。心からそう思う。

 そして、私と宗も両思いになって、ラブラブに、なぁーんてね。無謀だよね。
 今の状況で、どうすればふたり結ばれるわけ? 無理じゃん。