「泣くな。成仏するまでにもっと俺らと楽しくて幸せなデカい思い出を作るんだろ?」

 コクン、と無言で頷く私。
 そう言うことにはなってるし、本来私は宗に対してそうしなきゃいけないのだけど……はあ。胸が痛い。
 涙が止まらない。苦しい。ああ。ああ。

「お前は独りじゃないんだからな。咲香。俺達がついてるんだからな」

 強い口調で宗は言い切った。少し怒った顔をしている気がする。

『うん……』

 私はコクコクと頷いた。

「俺達は、最後までお前の味方だからな。お前をいつまでも忘れないからな」

 わかってるよ。宗。宗は、優しいから、秘密を知らない間はきっと私の味方でいてくれるのだろう。
 そう。秘密を知らない間は。

「悩みがあるならいつでも話してみろよ、どんな悩みでもいくらでも聞くからさ」
『……何でもない。大丈夫だから、気にしないで?』

 フイ、と私は顔を逸らす。

「言いにくいのか。なら、いつでもいい。いつか言える時に話してくれ」
『…………』

 私は宗の顔をじっと見るしか出来ない。
 ごめんね。大切な存在で、大好きだからこそ言えないの。

 本当にごめんなさい。