***

「咲香。咲香。大丈夫か?」

 突然宗のドアップ。あ。私やっぱり夢を見てたんだ。
 はあ。疲れたなあ。

『ん……な、に、宗。おはよう』
「おはようじゃないだろう。泣きじゃくって寝てた。大丈夫か?」
『え。嘘』

 宗がニュッと手鏡を差し出してくる。
 うわあ、私ひどい顔。目が真っ赤だ。ウサギみたい。

「お前うなされてたんだぞ」
『……え』
「本当に咲香、大丈夫か? 顔色悪いぞ」

 心配そうに宗は眉根を下げる。

 私はぼんやりその宗の顔を見つめた。

『…………』

「咲香? どうした?」

 宗が首を傾げて聞いた。

『昔の、夢を見てたの。懐かしくて楽しい夢』

 そして、今では甘酸っぱすぎて切ない夢。
 思い出すだけで涙が出る。ツラい。