「何。俺に用事?」
「宗くん!? 友也くんまで!?」
「宗! 友也! そして唯!?」

 宗が友也と一緒に現れた。後ろには唯がいる。きっと唯が異変に気づいてふたりを呼んだのだ。

「咲香は俺の友達だ。何か文句あるのか?」
「だって、村崎さんよりわたし達の方が可愛いし、勉強もできるしっ」
「そーよそーよ!」
「村崎さんなんか宗くんのグループにはありえない!」
「あんなチビ!」

 取り巻きが女子の後ろでピーチクパーチク叫ぶ。
 私は遠い目で彼女達を見つめていた。

「それがどうした。それはお前の価値観の中でだけだろ」
「なっ」
「俺にとって咲香は面白くて素敵な最高の友達だ。バカにする奴は許さない。俺は友達は自分選ぶから、お前らみたいに陰湿な行動する奴は関わりたくない」

 宗は真顔で言い切った。私はドヤ顔で宗の背中を見つめた。

「そんなぁ……宗くん……」

 女子は泣きそうな顔で宗を見る。ああ。この子宗が好きなんだなって当時も思った記憶がある。
 クラスのカーストトップの、ほんのり髪の毛を染めてメイクもナチュラルにしてる読者モデルもしてたあの子。

「ひどいーっ」
「ひどいのは誰だ。お前らだろ。咲香に謝れよ」
「謝って欲しいのはこっちなんだけど! もう、知らない!! 宗くんのバーカ!!」
「おいっ」

 泣きながら女子は走って逃げた。宗は本気で怒っていた。