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 宗に似合う女の子になりたかった。
 可愛くて明るくて気さくで、人気者の女の子。

 けども、私はチビで、ドジで、愛想を振りまける性格でもなく、トラブルメーカーでもあって、ただうるさいだけのおバカな女の子で。

 いつだって宗に勉強を教えてもらってなんとかついてける勉強に、運動だって正直でおっちょこちょいで皆の足手纏い。
 見た目だって子供っぽ過ぎてとてもじゃないけど色気なんかなくて。
 一生懸命超巨乳になるべく牛乳を飲んだりして、お腹くだして学校休んだりもした。
 自主的に本を読んで勉強をしようとしたら、気づけば寝てたり。
 
 それに対して宗は、いつだって注目の的。ビジュアルだけでもすごい華やかなのに、勉強はいつでも学年一位。
 運動ができないのも、勉強がトップまで行けば仕方がないよねって感じ。
 それに、宗は鈍臭いわけじゃない。結構身軽だ。皆がなんで運動ができないのか不思議に思ってウワサするぐらいに。

 ウワサになるたびに、友也が適当にはぐらかしてた記憶があるけど、友也は事実を知ってたのだろう。
 ぼんやり、過去のことを思い出す。

「オイ、根暗ぁ。なあ、宗。こいつキモくねぇ?」

 宗にうざい系の男子がいじめられっ子を見て馬鹿笑いしながら聞いた時。

「んー。あえて言うならお前のその発言の方がキモい。第一、そういう誰がキモいとか言うの、ダサいからやめとけ。今お前が言われて嫌だったろ?」

 ってはっきりキッパリ言ったの聞いちゃんだから。
 あの大人しい暗めの男子、泣いてたよ。
 ずっといじめられて自信なかったけど、嬉しかった。自信持って堂々と生きる。
 って保健室の先生に話してるの、これも偶然聞いちゃったんだから。
 
 キラキラしたグループとも仲良しで、ぶっちゃけクラス一人気はある鬼、なぜか派手な子達とはつるまない。
 それがまた、色んな意味で人気を爆上げしていくのだ。
 いじめられっ子にも当然優しかったし、差別偏見がない人だった。
 凄くカッコいいんだよねえ。
 見た目は王子様みたいって思う時もあるぐらい綺麗だし、何もしなくてもカースト上に行けるのに、カーストを気にせず友達を選ぶの、最高にクールだよ。
 と、考えながらふたりの元に辿り着く。

「お、戻ってきたな。咲香、友也。そう言えば今日花火大会らしい。一旦着替えてまた暑まんねぇ?」
「いいね! あたし浴衣着たい!」

 唯が飛び跳ねて言った。
 フリルとレース付きの浴衣だろうか。私も見たい。