「まあ。オレらがそばにいて、幸せな最後を誘導する事はできるにはできるけどな」
『でしょう!? じゃあそれじゃダメなの!?』
「ダメって訳ではないけど、オレが納得できない」
『ああーっ!! もうっ。私が宗の事が大好きだから少しでも側にいる理由も欲しいし不安なく幸せに逝って欲しいの!! それじゃ悪いわけ!?』
「悪くない。むしろシンプルでいい」
『え??』
「それがお前の素直な気持ちなら応援してやってもいい」

 どこか満足げに、腕を組んで友也が言った。
 それに対して私はビックリして一瞬固まる。

 私はそしてしばらくして、叫んだ。

『えええええ!? 本当に!?』

 友也が耳を塞ぐ。

「声、デカい」
『だって、思いやりとかかけてるって怒られるものだと思ってたんだもん』
「人間なんてみんな自己愛だろ。そもそも、オレが伝えたところで宗はお前の意見を信じるかもしれないしな」
『で、でも……』

 こんな自己中的な意見が、いいの!? アリなの!?
 嬉しいけどさ!

「自分で後ろめたいなら、言えばいい。オレはもう何もしない。咲香本人に任せる」

 友也は私にクルリと背を向ける。

「戻るぞ、ふたりが待ってる」
『う、うん!』

 私は目を輝かせてその背中を見つめた。

『ありがとう!! 友也!!』

 もし人間だったら私、友也に抱きついてるよ!
 そんな事したら殴られるかもしれないけど、それぐらい感動だよ!!

「ただひとつ約束しろ。咲香」