「咲香ちゃんの方が、すごいよ」
『え? 何?』
「なんでもないよ。あーもう。生きてみようかな。あたし。今死んだら、咲香ちゃん絶対仲良くしてくれないでしょ」
『もちろん、縁切るよ』
本気で怒るよ。そりゃあ。
「デスヨネー」
『私はね、ずっと唯を親友だと思ってたし、今も思ってるよ』
どんなに離れても関係が変わっても、私にとって唯は大事な親友だ。
「あたしもだよ、咲香ちゃん」
『だからこそ、自慢の親友のまま今を生きてください。かっこ良くもあり可愛くもあり、不器用で、結構癖の強い個性的なフリフリひらひらの似合う女の子でいてください』
そしてどうかその可愛いドレスのような服で、世界一のお姫様のように人生を突き進んでいってください。永遠に応援してるから。
「咲香ちゃん……」
『大好きだよ。唯。大大大好きだよ!!』
「わかった、わかったから。泣かないの。相変わらず泣き虫だなあ。咲香ちゃんは」
唯が私を小突く。手がすり抜ける。誰も突っ込まない。
『だぁってぇ』
「咲香ちゃんも、成仏した後は絶対近くに生まれ変わってね。あたしが来世も幸せにしてあげるからね。はい、ぎゅー」
『ああもう。抱きしめれないからね。私、幽霊だからね』
つらいなあ。抱きしめたいのになあ。
ねぇ。唯。死ぬってこういう事なんだよ?
もう二度と、大切な人に触れられないんだよ?
「気持ちの問題。あったかい気持ちになれるでしょ? 咲香ちゃん」
透けている私を、昔のように抱きしめる唯。
『うん……』
「あたしも、心から大好きだよ。咲香ちゃん。周りがバカにしてもゴスロリやロリィタをいつも褒めてくれるのも、嬉しかったよ」
『唯、ゆ、い、うわああああん』
「泣きすぎてでしょ、あたしまで涙止まらないじゃん」
『うわあああああああん』
子供みたいに泣きじゃくる私。多分鼻水が出るレベル。
「っ、く、うううっ……」
『唯ぃ、泣かないでぇ』
お願いだから、笑ってよぉ。私は唯の笑顔が見たいんだよ。