皆無事元気にしているといいな。私のことで泣いてないといいな。大丈夫だよ。私はもうすぐ皆の横に戻るから。だから、待っててね。

 特にーー……。
 ううん、今は余計なことを考えない。とにかく新しい仕事だ。

 でも、やっぱり考えちゃうよね。
 最後の日の皆の泣き叫ぶ顔。
 怖かった。
 最後に見たのは、自分の周りの血の海だった。

 ああなるなら、別の場所に集まれば良かった。なんであの駅に。

 私達はただ、ワイワイはしゃぎたかっただけだった。
 高校のテストが終わって、暇で、みんなでファミレスとかカラオケでも行くかなって、そんないつも通りの予定だったはずだ。それが。なんで。

『はあ……私だけ、いいのかな。こんなえこ贔屓みたいな生き返り』

 誰もがしたいに決まってるのに。
 特に現世で使命もない私が、いいのかなぁ? 
 もっと偉い人は家柄がいい人とか、必要なんじゃないの?

「何もしてないわけじゃないんだから、いいんだよ。咲香。この仕事は誰にでもできるわけじゃないから」

 神様は優しく笑う。そして意外と大きな手で私を撫でてくれた。
 一応男性なんだよなあ。神様って。
 めちゃくちゃ西洋画みたいで中性的だけど。

『そうかな。神様。ありがとう!!』
「ふふふ」

 褒められて少し頬が熱くなる。嬉しい。
 自分でも頑張ったっていう実感はある。
 だってそれぐらい、大きなご褒美だ。
 頑張らなきゃ対等じゃないし、手に入るものじゃないと思っている。

「神様にタメ口聞けるのも、咲香ぐらいだし」

 苦笑いをして綺麗な白い顔をかしげる神様。

『えー。私達相棒で友達じゃん』

 もう二年以上一緒にいたんだからさ。友達友達。仲良しじゃん?
 人間だもん。必死に同じ願いを持って一緒に頑張れば、いつだって誰だって友達になるはずだよ!
 あ、神様は人間じゃなくて一応神様か。えへへ。