『どうもしなくていいんじゃないのかな』

 私は強い口調で言い切った。

「え?」

 私の言葉に唯は目を見開く。
 目をつぶってから私は微笑む。そして唯の両頬に手を伸ばす。

『唯はありのままで生きてればいいんじゃないかな』
「咲香ちゃん」

 唯はきょとんとした顔で私を見た。

『私は、唯のありのままの性格が好きで友達になったから言うけど、無理に仲良くしたくない人と仲良くしなくていいと思うよ。好きに、やりたいように、でも思いやりは忘れずに、唯には生きて欲しいと思う』

 私は、そんな唯が大好きだから。

「咲香ちゃん、でも、独りは嫌だよ」
『宗も友也もいる。それに、友達はいずれ増えるよ。昔の唯は魅力的だったし、その頃みたいに生きれてればきっと気づけば友達ができるよ』
「ありがとう」

 唯ははにかんで、私を見た。

『昔は自分があって、なんだかんだで優しくていざとなったとき勇気のある子だったじゃん。カッコよかったよ。あの頃の唯』

 幼稚園のお泊まり会。お化け屋敷を怖がる私を守ってくれて一緒に歩いてくれた唯。
 虫から逃げる私を助けてくれた唯。私の好きな苺を、自分も好きなのに分けてくれた唯。
 泣いてる私を泣きやむまでずっと側にいてくれたり、私が我慢してた事を代わりに本気で他人に怒ってくれた唯。

 唯のいいところは、親友の私が一番知っている。

「咲香ちゃんに言われるほどでもないよ」
『そう? かな』

 十分そんな事あると思うけどな。