『唯を置いて死んだのはごめん。でも私だって死にたくなかったんだよ』

 私だってずっと唯と一生仲良しでいたかったよ。死ぬまで一緒にいて、いろんな経験したかった。死にたくなんかなかったよ……本当。

「わかってるよ。わざと咲香ちゃんが死んだとは思ってない。でも置いてけぼりにされた気持ち、わかんないでしょ?」

 唯が勢いよく立ち上がって叫ぶ。

『そうだね。わかんないよ。でも』
「でも?」

 唯が眉間に皺を寄せ首を傾げる。

『大事な人と離れ離れになる苦しみや寂しさは、痛いぐらいに私もわかるから』

 私は気がつけば熱いものを目から流していた。

「咲香ちゃん」
『離れ離れになった人数なら、私の方が多いかもね。この世から消えて死んだんだから。だからこそ、同じ想いを親友の唯にして欲しくないんだよね』

 そりゃ、色々変わって気持ちが混線する気持ちはわかるけど。

「あたし、知っての通り昔から自分を異性として性的に見る男の子が苦手で、でも女の子と仲良くできなくて、独りになるのだけは嫌で、自己愛的なそんなバカな理由で群がってくる男の子と無理に仲良くして、自分が悪いと思っていながら予想通り好き好きアタックされて苦しくて」
『うん』

 つらかったよね。唯。
 美少女だからこその悩みは、理解してもらいにくいんだろうなとも思う。
 唯、顔だけじゃなくスタイルも凹凸あって凄くいいし。

「自分からダメになってるってもわかってるの。でもどうしていいかわかんないの!!」

 フォークで黒板を引っ掻くような不愉快な金切り声を唯はあげた。