「おい! 宮嶋! お前はリレーの選手じゃないだろ!」

 男の子が怒って叫ぶ。

 唯はそれに対して振り向きながら睨みつける。
 そして叫んだ。

「だって、あたしは咲香ちゃんの親友だもんっ。親友が困ってれば助けるのが当然でしょ!? ほら、咲香ちゃん。立ち上がって。一緒に行こう!!」

 唯が私に手を勢いよく差しのばす。後ろから太陽の光がしてる気がした。
 私は震える手のひらでそれをつかんだ。

 そして唯は私を抱きしめてから、一緒に歩き始めた。

「唯……」

 一瞬、私の中に懐かしい小さな頃の記憶がよぎった。
 あんな事が、唯とは沢山あった。心から勇気のある唯になりたかった幼稚園時代。
 忘られない思い出がふたりにはいっぱいある。

『懐かしいなぁ』

 そして目を開けると。