『ねぇ、友也。私と唯が話せる方法はないの?』
「あるにはある。その方法には二種類あって、夜まで待つやつと、今できるやつ」
『今できるの!? してよ! 話したいよ!!』
「ああ。今できるやつは正直急ぎならスマホでもいいんだが、デカい方がいいだろうな」

 デカい方? って何?
 よくわかんないけど、それがあれば唯とコミュニケーションが取れるの? それなら絶対用意して欲しい!

『え! あるの!? 本当に?』

 ずっとずっと話したかった。言いたいことはいっぱいある。

「ちょっと街中で『アレ』を買ってくるから、お前ら先に公園にいろ。宗。お前近くの公園わかるな? そこ唯と咲香といろ」
「ん、ああ。わかった。いくぞ。咲香。唯」
「え。何々? どういう事なの?」
「唯と咲香が話すための準備だって、友也が」
「咲香ちゃんと話せるの!? やったあ!! 柴沢ありがとう!!」

 完全にご機嫌になった唯が笑顔で友也に抱きつく。

「うわっ」

 反射的に唯から離れる真っ赤な友也。あーあ。
 一方唯は友也の気持ちを何もわかってないのか満面の笑顔だ。はあ。ゲキレツ鈍ちん。
 私が側にいた頃も、よくこうやって誰かを好きな女の子を敵に回してた。アドバイスしてもあんまり効果ないのはなぜだと思っら親戚に同じ年代の男の子が多いからっぽい。納得。

「じゃ、また後でね。柴沢―」

 ブンブンと友也に子供みたいに手を振る唯。
「お、おう……見つからなかったら後で連絡する」

 友也は呆然と立ち尽くしたままである。こんなんだから、男の子に無駄にアタックされすぎて病むんだよ。唯。