『え……やっぱり来た』

 予想はしていたけれど。
 そう。

「友也」
「柴沢!? なんでここに」
「それはこっちのセリフだ宮嶋。何死のうとしてんだよ、バーカ」

 宗の親友、霊感少年柴沢(しばさわ)友也がなぜそこに立っていた。

 日に焼けた肌に赤い髪。釣り気味の目に眉毛。気だるい雰囲気で長身の彼はいかにも運動ができそうな感じ。しかし。実際は地元で有名な小さな頃からの霊感少年。
 テレビの取材までくる男の子(全部断ってるけども)、見える男「柴沢友也」その人だった。
『友也……』
「よっ。村崎。セーラー服が暑そうだな」
『うるさい、いつから私がこの世に来てるって友也は気づいてたわけ?』
「最近お前の気配がするなって思ってたんだよ。村崎。まあ定期的に気配は感じてたけどな。なんか用事あったのか、この世をウロウロしてただろお前」
『ぐっ……』

 さすが霊感少年。教えてもないのに気がついた。
 ニッと笑って私と宗を通過して、友也は、

「まさか宗に会いにきたんじゃねーだろうな」
『う、うるさいな! 友也は』
「図星かよ。相変わらずだな、お前」
「おい、友也。何言ってんだよ。咲香は自分が上手く成仏するために……」
「そんなの言い訳だろ、寂しかったんだろうよ。だってこいつ宗大好きだから」
『ちょ、まあ。皆大好きだから! ね? 宗』

 何勝手に私の代理で宗に告白しようとしてるんだよ! アホ友也!
 告白は自分でいつかちゃんとするんだよ!! 

「そうだよな。咲香は友達が大好きだもんな!」
『うんうん! そうだよー。皆大好き!!』

 ワチャワチャしながら友也と宗が私に向かって騒ぐ。
 それを唯は若干膨れながら、心底羨ましそうに眺めている。