そして、もしあの日。誰かひとりでもあの高校に落ちてれば、あの事件には巻き込まれなかったんじゃ、と思ったところで目が覚めた。
『はあっ、はあっ……』
自分の過呼吸のような息遣いに、私はビックリしながら深呼吸する。
『っ……はぁっ、はあ……ぐっえ』
色々な感情が流れ込んできて、怖い。
頭が割れるように痛い。私は一緒に寝ていた宗を見て、一生懸命とにかく別のことを考えようとする。
何か、何か。怖くない事を考えたい。じゃないとこのままじゃ泣いてしまう。
そして宗が起きて心配をかけてしまう。ダメ。そんなのダメ。
『あ……』
そしてふと、気づく。
私は大切な人を忘れていると。
『そういえば、どうしてるんだろう、あの子……!!』
天然のフワフワの巻き毛。全体的に色素が薄くて西洋人形みたいなのに、グラビアアイドルみたいな身体。
それに甘ったるい天然のアニメ声。お姫様みたいな格好や持ち物。
私以外に同性の友達がいなかった、とびきり美少女で可愛いけれど人間関係下手で誤解されやすかったあの子。
意外と毒舌で、正直もので、媚びるのが下手で。
女友達の中で、一番大切だった唯一無二の相方だったあの子。
なんで忘れてたんだろう。いや、考える事が怖かったのかもしれない。
だってあの子は、私を本当に好いてくれたから……。
あの子は不器用だったから、今頃悩んでいるかもしれない。
それならば。
『親友の私が、絶対どうにかしなきゃ、助けなきゃ!!』
そう。大事な親友の、宮嶋唯の事を。
私は宗が起きるのを待って、すぐに唯の事を尋ねた。
結果最低最悪の事実を知る事になる事になる。
唯は……私が死んでから、傷ついて腐ってしまったのだと。
そう、宗は悲しそうに、苦しそうに私に告げた。