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帰宅して、疲れてすぐに眠ってしまった私は夢を見る。
宗と出会った中学一年生の春隣の席になった宗は小学校時代からの友達と一緒にはしゃいでて、すぐ人気者になった。
私と仲良しの親友は、よりによってインフルエンザで数日休みだった。
慣れないメンバーに、私は人見知りして、隣を何度も見ていた。すると、宗と目があった。
「俺、鈴島宗一郎。お前は?」
綺麗な男の子だと思った。どこか儚げで、でも何だか力強さも感じる。
「あ、えっと。その。私、村崎咲香」
絶対顔が赤いと分かっていながら、私は慌てて答えた。
宗は、アイドルみたいな笑顔で私を見つめる。
「咲香ね、よろしく。昼飯一緒に食べね?」
「! いいの?」
「俺の友達とかと一緒でいいよな? やっぱ昼飯は大人数が一番だし。どうせ小学校と違って弁当なんだから、交換とかしようぜ」
「うんっ!! ありがとう。これからよろしくね。えっと」
なんて呼んでいいか分からず私はモジモジする。
あんまり、慣れない男の子って得意じゃないんだよね。実は。
「宗でいいよ」
優しい顔で、宗は言った。後ろに何人か宗の友達がニコニコ見ている。
よかった、これでもう独りじゃない。
親友にも、今度宗を紹介できる。
「分かった。よろしく、宗」
「よろしく、咲香」
これが、私と宗の出会い。
そして、決定的な事件が起きる。