そこにいたのは、少しギャルっぽかった舞香がどこか落ち着いたスタイルで立っていた。
 なんだか言葉にならない。
 私が通っていた高校の制服を着ていることを確認して胸が締め付けられる気持ちになった。

 舞香はツカツカと仏壇に向かう。そして手を合わせる。

「お姉ちゃん。よかったね、友達が頻繁に来てくれて。誰もお姉ちゃんを忘れないからね」
『舞香』

 あんなに反抗期でツンツンして素直じゃなかったのに。
 なんだか、切なくて胃の中が熱くてつい目を逸らす。
 オシャレが好きな舞香の使うピンク色のリュックは、私が生前よく使っていたものだった。
 もうボロボロなのに、丁寧に縫ってまで使っている。
 他のものが今風だから、正直すごい浮いてるのに。

 何より、裁縫、家族皆苦手なのに明らかに手縫いだ。丁寧だけど下手だからすぐわかる。
それがまるで今の歪な家族の形を表してるみたいで、私はすごく苦しい気持ちになった。

『昔の写真ってないのかな。もっと見たいな』
「あの。咲香のお母さん。またいつものアルバム見せてもらって良いですか」
「もちろん。前と同じで咲香の部屋にあるわよ」
私の部屋……大好きがいっぱい詰まった思い出の部屋。大好きなピンクやラベンダーに溢れて、ぬいぐるみがいっぱいな子供部屋みたいな部屋。
『あ……』

 そこは、何も変わらない私の部屋だった。