思わず私は目を逸らす。
 見たくない。
 でも。コレが現実で。
 見れば見るほど私は死んでるんだと実感する。
 仏壇に添えられたられたジュースやお菓子に手紙。コレがなくなるのは何年後だろうか。

 いずれ、私は皆の中で気づけば忘れられてしまうんだろうな。
 なあんて。 
 飾られた写真を見れば、嫌でもわかるんだ。
 宗は大人になっている。
 あの頃と比べて、皆も大人になっているのだろう。

 私だけ。私だけが子供のまま、置いて行かれてしまう?
 そんなのは嫌だ!!
 
 絶対に嫌だ!!!!
  
 だから、私は生き返るんだ。でも。だけど。このままじゃ結局私が頑張って生き返っても宗が……。

『…………』

 畳の匂い。線香の煙。床に落ちた団扇に、どこはかとなく漂う夏の香り。本当は、ここにいるはずのない私。