「きゃあああ! 咲香ちゃん!」
「!? 咲香!!」
「村崎……!」
友達三人が三様に私に声をかける。犯人には聞こえてないようだった。
イカれた目つきの犯人は、私の顔なんか見てない。私達の高校の制服だけをみてるようにも見えた。
「私はいい! 早く! 逃げて!!」
大好きな彼とその親友と、私の親友が困惑気味に私を見ている。皆同様している。このままじゃ私は死ぬだろう。それでも皆には生きていて欲しかった。
「お前らだけ青春謳歌しやがって! クソ!! 死ね!!」
守りたかった。私が一番チビでとろいし足でまといだと思った。
誰かが犠牲になれば、その人が生きてる間は足止めもできるだろうし。
だから私は皆を睨みつけて犯人の顔を見つめてから笑った。挑発して、私だけを目的にしてやろうと思ったのだ。
怖くないはずがない。今すぐ泣きじゃくって逃げたかった。
それでも、嫌だったから。皆が死んでしまうのがそれ以上に嫌だったから。
「ちょ、咲香ちゃん!! 咲香ちゃん!! 誰かあああああ!!」
「咲香!! おい!! 今助けるから!!」
「村崎!!」
「ひゃっはああああああああ!!」
犯人がナイフを私に突き刺した。警察が走ってくる。
あは。
もう遅いよ。