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「あら、また来てくれたのね。宗くん。いらっしゃい」
『お母さん、なんだか少しやつれて……』
宗のお陰で私は自宅の中に入っていた。
幽霊なので自力じゃ扉を開けれないので、すごく助かる。
「いえ。急にすみません」
「本当にいつもありがとうね。咲香も天国で喜んでるわ」
『お母さん、ここにいるよ。私、ここにいるんだよ』
なんて。聞こえるはずないけど。
私はつい、お母さんに手を伸ばした。当然スゥッとすり抜ける手に、ため息をつく。
どんなに前を往復してもお母さんの瞳に私は絶対映らない。
わかってたのに、どうしても切なくて、胸がギュウウと締め付けられる感じがした。
「入って。宗くん」
「お邪魔します」
『! 私の写真!』
玄関にあるコレは、中学生の頃自宅に皆が来てくれた時の写真?
お母さんがノリで撮ってくれたんだっけ。
これも記念よー!
って。他にも、私のスマホにあった写真だ。
懐かしい。家族や親戚の写真も一緒に飾られていてすごく懐かしい。
『皆、会いたいよ、話したいよ……』
胸がさらにギュウギュウと締め付けられて、苦しい。思わず泣いてしまいそうになる。
泣いたって、お母さんには見えないから泣けば良いんだけど、どうしてもツラすぎて逆に泣けない。
仏壇のある部屋に案内される宗。そして。
『私の、仏壇……』