「二年経ったらな。妹ちゃんも大きくなったぞ」
『だろうね。私がいなくても、村崎家は進んでくから。私は遺影で笑ってるだけ』
「そんな事はない。思い出として刻まれてるだろ」
わかってる。そりゃそうだってわかってるけど。
『目に見えない記憶なんかそのうち薄れるんだよ』
怖かった。
宗が変わってたら、とか。
彼女がいるんじゃとか。
私以外の三人が皆バラバラになっていたらとか。
知らない所で、皆が未来にどんどん進んであの頃から成長したり、壊れてないか。
凄く不安だったんだ。
大好きな、親友。今どうしてるんだろう。それすらも宗に聞けないの。バカでしかない。あの子は不器用だったから。
私がいなくなって逆に幸せ度数上がってたらそれもそれでツライ私はわがままだ。
私を忘れないで寂しがってて欲しいとか、思っちゃいけないのに。
外に雨が降り出す。無言で私は窓を見る。心がザワザワして落ち着かない。
『……はあ』
ねえ。どうして私はこんなにも子供なの。
自分で自分が嫌になる。
私を置いてかないで。そう思って泣いた事もある。
幽霊は眠らなくていいけど、私は神様に頼んで眠れるようにしてもらった。
そうしないと壊れそうだったから。無理だったんだ。永遠に起きてる事自体が、自分が人間じゃないって証拠みたいで。
「泣くなよ、咲香」
『え。泣いてなんか……あ』
宗に言われて私は泣いている事にようやく気づく。