「咲香。顔色悪いけど大丈夫か? 寒い? エアコン強いか?」
『あは。幽霊は気温関係ないんだよ。宗』
「そうか……」

 どこか寂しそうな宗。
 その気持ちはよくわかる。私も宗と一緒にかき氷を食べたあの頃に戻りたいもん。

 宗のそばにいられる、けれど。
 出来る事は凄く限られていて。

 だよね。一度死んでるんだから全てが元通りなんて都合がいい話があるわけないよね。
 わかってる。
 わかってなかったけど。

 どんなに暗くなった空を見上げても、どんなに道行く人を眺めても。
 私はここには本当はいない。
 誰にも見えない。

『お母さん達元気かな』
「まあ、そこそこにはな。今日、会いに行ったんじゃなかったのか?」
『あれ、嘘なの。宗のところにしか、来てなくて』
「家族の今を見るのは怖いか」
『それもある』