「あたしも行くー」
「咲子も行くーパパお仕事頑張ってねー」
「おう、ありがとうな咲子。でもバス早くないか」
「いいの。あたしとコンビニ寄るし。ねぇ咲子。ママも咲子が出てったらパートさんだよーお仕事だよー?」
「じゃあママも頑張ってねー! パパもママもお仕事して偉いー!」
「ありがとう! 咲子! ママ嬉しい!! 咲子も幼稚園に通ってえらーい!」
咲子にメロメロの唯は目をハートにして咲子を撫で回す。
咲子はピョコピョコと二つ結びの髪を揺らしてはしゃぐ。髪の毛がまるで犬の耳のようだ。
咲香もそうだったなあ。ちっこい犬って言うかなんていうか。
「えへへ。咲子偉い? 偉い??」
「うん。すごく偉い!! 良い子!!」
「わああい!! 皆偉―い!!」
ワイワイ家族でアパートの玄関先で騒いでいると。
ドンッ。誰かと咲子が軽くぶつかった。