「……オレもそんな気はするけどな。咲子にはわからんだろ」

 咲子に前世の記憶はない。ないからと言ってこっちも与えない。
 それがマナーだと思うから。咲子は咲香ではない。一人の別人格だから。
 そういうのは、割り切るべきだ。

「じゃあオレそろそろ仕事行くから」

 呆れ気味にオレは扉を開ける。すると皆が忙しなく動き出す。