『え?』
「自分の人生だよ。咲香が決めればいいよ。宗君もわかるよね?」
『わかりますけど! せっかく生き返れるのに、俺なんかのために』
「その俺のために生き返ろうとしたんだよ。咲香は。咲香にとっては『なんか』じゃないんだよ。宗君は」

 私は無言で頷く。私にとって宗は生きる指針だ。
 だけど、それが宗にとって重荷になるなら、私はそれはそれで生まれ変わって生きていく気だ。

『宗。私は宗の側にいたい。嫌なら、生き返って自分らしく生きていくけど、本当は宗のそばで一緒に成仏して行きたいよ』
『咲香、俺も気持ちは嬉しい。でも、いいのか? 人生やり直せるんだぞ』
『私は宗と一緒に人生を歩みたかったの。だから』

 この世に未練がないと言えば嘘じなる。
 だけど。

『宗と一緒に私もちゃんと死なせて下さい』