『行くぞ咲香』
『どこに?』
『人気のない場所』
『友也以外には見えないよ、私達』
何を言ってるの。私達幽霊だよ。宗。
普通の人には見えてないんだけど。
『あ』
『あははは。友也が霊感少年で特別な事、忘れてた?』
『……ああ』
まあ、仕方がないね。友也はああ見えて有名人ですごいんだって私もたまに忘れてしまう。本人が気取らないからかな?
『そして、あらたえて嘘ついててごめんね。宗』
『お前の優しさもあったんだろ。俺に死を告げれないって気持ちはわかんなくもない』
『私が悪いんだよ。役割を忘れて私情を持ち込んで、宗の大切な時間を奪った』
『咲香』
『こんなの、宗に嫌われても仕方がないよ』
私は笑いながら泣いていた。
本当は嫌われたくなくなんかなかった。
好きだから、好かれたかった。
でも、ダメだね。好きだと逆に上手く立ち振る舞えないね。
しんどいくらい不器用になる。
『でも、見届けにきてくれたのが咲香でよかったよ』
『え』
恨まれてると思った私は間抜けな声を出した。
『おかげでいろいろ思い出もできた。咲香と恋人にも一瞬だけど、なれたし』
『宗』
『だから、咲香は俺のことを気にせずに新しく生き返った後の人生を楽しんで欲しい』
『私は、』
眩しい光がさして、私はそこを見た。金髪長髪の着物の男性がそこにいた。神様だ。