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 私が地上に降りた時には、もう皆は放心状態で。
 病院の中もバタバタしてるし、一瞬病室を覗こうとしたけど、怖くて無理だった。

「咲香ちゃん! 宗、死んじゃったよ」
「今バタバタしてて、あと少しで通夜の準備だって。宗の家族が色々動いてる」
『嘘……ごめん、ちょっと色々あって戻れなかった』

 声に力が入らない。その場にへたり込んでしまいたい。
 消えたい。死に目に遭えなかった。
 そりゃ、幽霊になってもあえるけど、それとこれとは違うのだ。

「理由はどうでもいいよ。咲香ちゃん。さっき死んだ宗に合わせてもらったんだけど、正直もう気が動転して逆に喋ってないと不安なぐらいだよ」

 唯は肩を自分で抱きしめて震えるように言った。

『わかる。宗はどこ? 私、宗を成仏させにきた以上、しっかりその後の責任持たないと』

 頭が大混乱している。色々な言葉が脳みその中で踊ってる気がする。

 こんなはずじゃなかったのに。

 なんでこんな事になってしまったんだろう?
 あれ? え?

 私何がしたかったんだっけ?

 あああああああああああああああああああああ! わけがわからないよ。宗を成仏させたいんじゃないよね。宗を生きさせたかったんだよね。でも。もう。無理だ。宗は死んじゃった。神様に邪魔されて、止められなかった。だから宗は死んじゃった。

『宗が、死んじゃったよぉ……!』