「でも! 宗が!!」

 もっと青ざめる唯。そりゃ一応は割引がきくから無意識に出しちゃったんだろうね。
 いつもは普通に出すからね。

「一旦帰って寝て起きてすぐ病院付近に集まれ。村崎はオレの方にいろ」
『わかった。連絡があるのはそっちだもんね』
「あ、あたし、も。一緒に……行く」

 小刻みに震える体でひとりは嫌だ、と唯が続ける。

「実家にどう説明しろっていうんだよ、それ……まあ。いい。宗の事情は両親も知ってるから、それでゴリ押しする」
「ありがとう! 柴沢!!」

 ガバッ。ギュッ。ビュシャ。

「抱きつくな! 宮嶋!!」

 こんな時にコミカルに鼻血を出している友也に、私は笑ってしまった。いや、さすがに空気読めよ私。ダメだろ私。

「あはっ」
 唯も笑っちゃってるし! ゴスロリに鼻血付くよ!? 大丈夫なの!?
 ねえ!? いや、心配するのはそうじゃない。そこじゃない。違う。
 友也はティッシュを鼻に詰め咳払いをした。

「とりあえず帰宅前に事情をメッセージアプリで母親に飛ばしておくからカラオケの中でなんか食べて帰るか」

 確かにもうお昼ぐらいだね。ふたリは空腹だろうし、帰宅まで食べないとキッツイだろう。
 友也のお母さんも急には準備できないだろうし。

「そうだね。朝ごはんも食べてないし。お腹減ったぁーっ! パンケーキ食べたい」
「帰ったらその代わり休めよ? 宮嶋」
『そうだよ、唯。寝なよ?』

 絶対に。