「ところで何で、天国からここに来てるんだ? なんか特別な日にちでもないはずだろ。死後何周忌とか」
『そうなんだけど』

 百人目のタイミングと合うのが今だった。

 シンプルにそれだけの都合でココに私はいるんだんけれど。

「第一.咲香お前、二年間もずっと成仏できてなかったのか」

 まあ。そうなりますよね。心配そうな顔をしないで。
 私は一応そうじゃないんだけれど理由を話すと私の立場がバレてしまう。
 ダメ絶対。

『あ、あは』

 私は苦笑いを浮かべて宗から目を逸らす。
 誤解? そうだ! それを利用しよう!

 嘘をつくのは嫌だけど……。

『そうなの。宗。犯人のせいで青春を失ったのが悔しくて』

 この前置きは一応事実だけれど。

「やっぱりそうなのか。大丈夫なのか? ツラかったよな。こんなに長く成仏しないでいたら、悪霊になるんじゃないのか? 除霊されたりしないのか? 俺に何とかできないのか? 咲香を助けれるなら助けたい」

 畳み掛けるように言う宗は、やっぱり優しいあの頃のままだった。

 そんな宗に、彼の死を告げる勇気は今の私にはまだなくて。