「ちょっとあたしトイレ行くね」
「おう」

 唯はそう言って、数十分帰ってこなかった。
 帰ってきた頃は目の下が真っ赤だった。当然のようにその事には誰も触れなかった。
 その間私と友也は気まずい雰囲気でぼんやりしていた。
 スマホの通知音がなるたびに、友也が即座にスマホを見る。そしてグッタリと肩を落とす。

「もう嫌だ……」

 囁くように呟いた友也の声を、私達は聞いていないふりをした。
 全身が心臓になって行く気がする。怖い。私がもし変われたら。そんんな事を考える。
 私が生き返るのを諦める代わりに、宗が生きていられればいいのに。それじゃ、ダメなのかな。そんな価値、私の命にないのかな。

 はあ。発狂したい。勢いよく壊れてしまえば、この痛みもわからなくなれるのかな? 
 そんな時だった。