何人も目の前で泣いて説得したり、楽しい思い出を作って成仏させてきた。
ガムシャラだった。でも。
それを宗は強引にできないよ。
本当、私って自己中。だけど、仕方がない。できないんだもん。
私が宗の事を大好きだから。長い付き合いの仲良しだから。恋人だから。
いろんな理由はあるけど、身近な人が死ぬって、思った以上に怖い。
「ねぇ、咲香ちゃん。どうにか宗が死なない方法ってないの?」
唯が神妙な面持ちでこっそり私に耳打ちした。ヒラヒラとしたのレースだらけのスカートが風に揺れる。
「教えて」
ビックリするほどに、低く強い声だった。それに対して他のふたりは気付かなかった。ホッ。
『ごめん……』
私は力無く謝罪するしかない。
そんな方法、知ってれば初めから使ってる。ないんだ。そんなものは存在しない。
だから私は現実逃避に嘘をついた。それしか出来なかった。
宗の死としっかり向き合ったところで何もならないから、と諦めた。
無理だと痛感するのが怖かった。でも、今思えば足掻けが良かったかもしれない。
万が一にもチャンスがあったかもだし、努力した上でなら神様にどうにかしてもらえたかもしれない。
だって、私だけは生き返れるのだから。
それならば。
頭をフルに使って考える。何かないか。何か何か。お願いだから、何か……。
ザプン、と波の音が聞こえる。鳥の声も聞こえる。顔を上げると、太陽の光が眩しくなっていた。
もしかして。