「お前の夢を信じてたのに。お前の夢を叶えようって思ってたのに。何だよ。俺、死ぬのかよ。そりゃ病人だからいずれ早死にする覚悟はあったけど、こんな裏切りないわ」

 ごめん。本気でごめん。宗の気持ちを、裏切ってごめん。

「咲香ちゃん! 宗!」
「宗!! 村崎も、大丈夫か」
「友也。唯。何なんだよ、もうほっといてくれよ。死を待つなんて面倒臭いから今すぐサクサク死なせてくれよ。どうせ俺、死ぬんだろ? 二日後なんだろ?」
「お前らしくないぞ、宗」
「俺らしいって何だよ。友也。ずっと俺は無理してきたんだよ。元気で明るいふりをして後ろを見ないようにしてきたんだよ。そうしなきゃ、死の恐怖に押しつぶされそうだったからな」

 宗はようやくこちらを振り向いた。宗は泣いていた。小刻みに体が震えている。
 そうだよね。本当は、宗、死ぬのが怖いんだよね。
 当然だ。誰だってそうだ。

「俺、死にたくない……」

 ボソリと宗が呟いた。ぎゅ、と震える手で宗はパンツの袖を握りしめた。
 そして。

 そのまま宗はしゃがみ込む。