『………』
 私はする事がないので浮遊しながら窓を見つめる。
 窓の外は明るく元気な人間で溢れかえっていた。笑顔、笑顔笑顔。いいなあ。はあ。
 マスターらしきフサフサの白ひげが可愛いお爺さんは新聞を読んでのんびりしているし。
 膝にはハチワレ猫が寝てる。可愛い。でも。ううう。居心地悪い。

 いつ帰るか声をかけようにも、食べ物は三分の二ぐらい残ってるし、皆休みたいか一緒にいたいんだろう。
 さすがにそれぐらいの空気は読める。よし、ここはしっかり黙ってよう。

 次第に友也はスマホをいじり出す。宗は一応カレーは食べ終えた。
 けど、まだフロートをのんびり飲んでいる。唯はトイレに消えてメイクを直してきた。
 なんだこの空間。
 しばらくして、ゆいが私の方をみて、え? 私が見えるの? って思ったら窓の外を見ていた。そして立ち上がり言った。

「なんか外で風船配ってるって。宗、貰ってこよう」
「は? なんで俺まで」
「四人分だから両手使ってもふたりいるかなって」
「友也じゃダメなのかよ」
「柴沢は愛想悪いから、子供が怖がるでしょ」
「はいはい。わかったってーの。行くよ。唯」

 宗と唯が喋りながらカフェを出て行く。窓の外を見れば確かに風船を持ったピンクのクマの着ぐるみがいた。
 子供達に囲まれてるけど、風船貰えるのかな。結構遠くにいるし、と思うとなんかアンケートに答えろと言う看板が見た。 
 スマホの乗り換え関係のアンケートの客寄せらしい、なるほど。
 ついでにビンゴもできるとか。ちょっと楽しそう。