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お墓から帰宅中。他にお客さんが誰もいないカフェに入る。
ちょうどバス停の近くに、レトロで可愛いカフェがあって、窓から見た限り空席しかなくて、メニューを見てみると手頃だったので唯が選んだ。
煉瓦造りにアーチ型の窓がいかにも昭和な感じ。
「わー美味しそう」
運ばれてきた飲み物を見て、唯がご機嫌に言った。
宗はコーラフロート、友也はコーヒーフロート、唯はメロンフロートを頼んだ。
外が暑かったからなのはわかるけど、いつもなら羨ましいと思うのに、それすら感じない私は相当気持ちが落ちているらしい。
皆も少し疲れているのか無言でフロートを飲んでいる。
一応はカフェにはレトロで可愛いオルゴールの音が響いているけど、それが逆に虚しさを悪化させている。
しばらくしてそれぞれの食べ物もやってくる。
宗はカレーライス、友也はミートソーススパゲッティ、唯はベリーベリーチョコレートタルト。見事にバラバラだ。
私はその上をフワフワ浮かんで眺めるしかない。一応友也のテーブルにはタブレットが近くに置いてあるんだけど。
ゴクゴク、もぐもぐ。
「おいしいね。皆」
気を遣った唯がそう言うも男子二人は無言で頷くだけだ。
それを見て唯も黙ってタルトを食べる事に集中し始める。お通夜か。
私も話題を振る元気はないので、結局皆喋らないまま、食べ進んでいく。
食前の写真すら誰も撮らなかった。いつもなら、唯が一番はしゃいで自撮りまで始めてるのにな。SNSに載せるー! って。
しかも、フロートもチビチビ飲んでて、皆全然減ってない。アイスだけは食べてあるけど、まるで時間を稼いでいるようだった。