皆をこれ以上困らせるな。私。優しい友達にこれ以上迷惑をかけるべきじゃないって、わかってるのに。
いっそ百人目が宗じゃなければよかったのに。でも。そしたら。
こうやって皆と仲良く笑ってる青春最後の思い出は手に入らなかったし。
ああああああああああああああああああああああああああああ。
どうすればいいの。どう考えて、どう行動すれば正解なの。
わかんないよ。何をすればいいの。今更。何すれば宗は幸せになれるの!? だって、死ぬんだよ!? 死んじゃうんだよ!?
死んだら何もないじゃん。
どう、すれば、いいの。
たった一週間。いつもならうまくやれた。立ち回って成仏まで持って行かせれた。
けどさ!! いざと大事な人が一週間で死ぬってなったら、一週間の短さを痛感しちゃうよ。足りないよ。全然足りない。
死なない方法を探して足掻く死ぬ予定の人は沢山いた。それを冷静に説得したり、丸め込むような真似もしてきた。
けどさぁ。できないよ。宗にはそんな事無理だ。
自分が死んだだけじゃなく、大切な人を失いそうになって本当の意味で初めて命の思いを思い知る。
死ぬって怖いんだ。いなくなるって悲しいんだ。
本当は誰も受け入れたくないんだ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。宗、死なないで。
「おい、咲香。花屋行くぞ。もう六時近いんだからゆっくり見てたら閉まるだろ? 急ぐぞ」
「咲香ちゃん、薔薇も買おうよー。ピンクと赤と白!! とびっきりゴージャスにしよ!」
宗と唯が私を呼ぶ。なんだか楽しそうだ。テンションがかなり高い。
その中で全てを知っている友也だけが、複雑な表情で私を見上げていた。
結局、花屋で宗達と選んで買った花束は無駄に華やかで色とりどりで、まるで何かのお祝いのプレゼントみたいで。
とてもじゃないけど死人にそなえるものではないものになった。