そして数十分後。宗の提案で、私たちは外にいた。背中を暑く照らしてくる太陽が眩しい。
 バスを乗り継ぎながらどこに行くのか、宗以外は知らないまま皆宗について行った。
 なんか、見慣れない場所だな。昔何度か行ったことある小さなお寺を通った。そして、たどり着いた場所にあったのは。

『もしかして、ここ……私の、お墓……?』

 宗が頷く。
 そこは新しめの綺麗な墓地だった。周りには草むらもあまりなく、手入れが行き届いている。
 無言で固まる私に、皆。そこに先にいたのは、私のお母さん。
 地味な黒いワンピースを着て、暑い中真面目な顔でお墓の掃除をしている。
 お花も綺麗なのが刺されていて、きっと最近取り替えてくれたのだろう。

『…………』
「あら、宗くん。皆。来てくれたの?」

 後ろに近づく私達。そこで、お母さんが先頭にいた宗に気がついて顔を上げる。

「はい。咲香のお墓に久しぶりに皆で一緒に手を合わせにこようと思って」

 その言葉に私の心臓が跳ねる。
 私、やっぱり死んでるんだ。もう骨なんだ。そう思った。

「ありがとう。咲香も喜ぶわ。あの子、賑やかなの大好きだから、天国で笑ってるわね」

 お母さんはそう言って手を合わせる。そして皆も手を黙って合わせてくれた。

「そうですかね」
「え?」
「いえ、何でも」

 宗があわあわと首を振る。つい素面で返事をしちゃったっぽい。
 ヤバい。このままだと私がここにいることがバレる。ヤバい。そう思っていると。