「咲香みたいに、僕や誰かに人生をどうにかしてもらえる人ばかりじゃないんだよ。全員がそうしてれば、世界が滅茶苦茶にな
る」
『……………』
「とにかく。この仕事が終われば咲香の願いは叶うんだよ。そのために君は絶対に頑張るしかないんじゃないの? なんのために百人近くツラくて怖い思いして成仏させてきたの? 大変だったでしょ? この前なんか相手が悪霊化して死にかけてたよね?」
『そう、だけど!!』

 確かにあれは私まで悪霊になるかもってレベルだったけど!

 だけどだけどだけど!!

 大事な人の命が絡んでるんだよ!? それこそカジュアルに割り切れるわけないじゃん!!
 無理だよ!! 無理!!
 あああ。吐きそう。

「咲香。どんなに感情的になっても現実は変わらないよ。それに宗君は君に凄く会いたがってるんだよ」
『宗が』

 私に、会いたい?

「仲良しだったんだから、当然だよ。四人組の他の子も今でもお墓参りとかしてくれてるんだよ。ずっと咲香の事を三人とも気にかけてくれてるんだよ。その子達とも会えるはずだから。ね」
『え、皆が?』
「そうだよ。当たり前じゃん。ほら、勢いあるうちに、現世に飛んで」

 !?

『わ!?』

 パアアアア。キラキラキラキラ……。

 神様が手を光らせると、すぐに私は宗の目の前を浮いていた。