それなのに宗が……。
 ……考えたくない。でももう時間がない。このままじゃ宗は死んでしまう。わかってる。

「来世も四人で笑おうね」
「もちろんだ」
「おう、宮嶋」

 唯がボソリと言った言葉に宗と友也が同意して、一緒に私は強く頷いた。
 その時はみんな大往生して、とびっきり幸せな人生を一緒に過ごしたい。なぁんて。
 叶うかな。叶えたいな。だけど今、見なきゃいけないのは来世じゃない。現世だ。

『はあ……』

 あっ、やば。

「咲香?」
「村崎?」
『なんでもない』

 思わずため息をが声に出る。唯以外のふたりが一瞬私を見たので、にっこり微笑んで誤魔化した。唯は安心したのか眠っていた。化粧落とし忘れて、肌が荒れそうで不安である。大丈夫かな。

「午後から、俺は行きたい場所があるから、付き合ってほしい」

 硬い声で、宗は言った。

「おう、わかった」
『うん、いいよ』

 宗の提案に私と友也がOKを出す。きっと大事な用事なんだろう、顔にそう書いてある。
 ふわり。

 ひらひらと蝶のようにカーテンが揺れる。

 生温い風が、宗が開けた窓から入ってきた。
 夏が終わる。街は涼しくなり、学校も始まる。

 体育祭に文化祭、青春の思い出がどんど増えていく。修学旅行も、学校によってはこの時期だ。行きたかったなぁ。小学校でなら、唯と楽しく行ってきたけど。宗と一緒にお泊まり、したかったなぁ。

 そろそろ唯達高校三年生は、青春の終わりが本格的に始まり、大人への階段を上がっていく準備をしていく。少しずつ夢と折り合いをつけながら、現実を生きていく。泣き、笑い、生きていく。
そして。

 ……そして。