***

 嘘だ。宗が高校生で病気なんかで死ぬなんて。
 あんなに元気だったじゃん。そりゃ体育は休んでたけれど視力的問題だって聞いてたし。
 ああ。ショックと興奮で心臓がバクバクする。

 宗に一番死んでほしくなくて、あの日頑張ったのに、なんてことすら考えてしまう私は呆然とその場に立ち尽くした。
 宗が。
 あの、宗が。
 嫌だ。クラスのみんなと仲良かった宗。

 たまにストリートスナップに断れなくて何枚も撮られて、照れていた宗。よくしらない女の子に告白されては、真っ赤な顔で振っていた宗。
 宗。宗、宗、宗。私の世界一大好きな宗。

 それが、なんで!!

『なんで、宗が? なんでなの? 神様!』

 私は掴みかかるように神様の服を引っ張る。
 神様は真顔で私を見る。
 他の幽霊や天使達も、様子を伺うように私達を隠れるようにしてみている。見えてるけど。

「宗君は生まれつき、そういう運命なんだよ。咲香」

 淡々と言われて私は尚更頭に血が上る。

『運命なんてそんな言葉で片付けられちゃうの? 酷い!!』
「でもさ。咲香の事件もそうだよね。結局人生ってどうにもならないこともあるの。自分が一番理解してるでしょう」

 神様は淡々と言う。私と目は合わせない。

『そうだけど! だけど!』

 私は雲の床に大粒の涙をこぼす。当然涙は雲を通過して雨のようになる。