「いい? これは最後の仕事で最後の試練だよ。咲香」

 声は淡々としてるし、迫力やばすぎる。固まってしまうレベル。
 あ。いけないいけない。返事しないと。

『え? あ? うん。わかってるよ。神様』

 あたふたと絞り出した声で私は返事をした。

「私情は挟まない。挟むなら、この生き返りはなしだ」
『え……』
「当然だよね?」

『も、もちろんだよ! 私頑張るよ!!』

「言える?」

『え?』
「相手があの子だって知っても、同じこと言えるの?」

 あの子って……? 誰?

「いい? 咲香」

 神様の綺麗な声が一段と低くなった。

『うん?? 神様』

 私は目をパチクリして神様を見る。強い風が吹いて、セーラー服姿のわたしの赤いスカーフが揺れた。
 神様はじっと私を見つめてそのまま畳み掛けるようにこう言った。





「君が今回無事に成仏させる魂の持ち主の男の子は……鈴島宗一郎(すずしま そういちろう)君。……そうだよ。君の友達の宗くんだよ。そして、君の初恋の男の子だ」
 と。