私だって、神様には本当に感謝してる。本当だよ?
 普通にはありえないチャンスをくれたんだもん。
 でも、不満もある、なんで、こんな。
 ううん、ダメだ。宗がせっかく前向きに考えてくれたんだもん。
 もっと私も前向きに切り替えないと。今を楽しまないとだよ。今は今しか存在しないんだから。特に、私達は……。
 
 なのに心揺らいでる。なんで、どうして、言い訳ばっかりに飲まれてる。バカみたい。

「もう少し歩いて、俺の家の近くの本屋でも行くか。で家で休もうぜ」
『そうだね。宗の意見に賛成―!』

 少し、宗の体調も心配だしね。少し疲れ気味に見えるのは余命が近いのが理由とかじゃないといいんだけども。
 考えたくない。ああああ。

「何か欲しい本あれば買ってやるからな」
『ありがとう、宗と私が一緒に楽しめる本がいいなあ』
「貯金はあるから、値段で遠慮するなよ」

 宗、一時期バイトしてたもんね。今は受験生だからしてない様子だけど……。
 体に事情があっても、自己管理してしっかりバイトするって偉いね。

『うん、楽しみだな。本屋さん』

 雑誌とか見れば、未練がどんどん湧いてくるけど、やっぱり本を見ると感情が動く。