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 雨が止んだ。通り雨だったようだ。
 暑さのせいかしばらくすると服も乾いてくる。それでもそうは無言でひまわり畑の方を向いている。
 先ほどとは違うお客さんが来て、宗をなんだなんだと言う目で見る。

「咲香。このままバスには乗れないから、しばらく歩いてもう少し服が乾いたら着替えを買ってくる。さすがに生乾きじゃな……」
『その方がいいよ。風邪ひいちゃうよ。宗』

 何もなかったように笑うようになった宗に、私も笑顔を作る。

「クシュ」
『大丈夫? 宗?』
「平気平気。歩こうぜ。海通らないかなー」
『海は遠いよ』
「残念」

 行きたかったな。海。とびきりオシャレな水着を着て、宗の前にいたかったな。
 死んでから、後悔ばかりが浮かんでくる。
 生きてた頃って、本当なんでもチャンスがあったんだね。今になって嫌なくらい痛感してしまう。あー。吐きそう。