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 なんとなく気まずくて、バスを予定より先のバス停で降りた宗。
 まあ、もう少し歩けばひまわり畑であるけど、本当暑い。日焼けしそう。あ、私はしないけど。
 太陽の光が眩しすぎて私は目を細める。暑さは感じないけど、眩しさは幽霊でも感じるので、結構キツイ。

「なぁ咲香。もう少し寄り道するか?」

 え? 

『人、いるよ。宗、喋んない方がいいよ』
「デートなんだから、黙ってたらつまらないだろ」
『そうだけど、宗が変な目で見られるよ』

 実際今も、チラチラ見てる通行人がいるし。視線が明らかに嫌な感じがする。
 その度に実感するんだ。
 私はここにいるはずのない人だって。いてはいけない人だって。
 宗の思い出を作りにきてるのに、こうやって自己中な願望ばかり宗に叶えさせて、最低な女の子だって。

「いいよ。咲香と楽しくデートする方が大事。だって、大事なデートだし」

 あえて大きな声を出したのか、宗声のボリュームが上がる。

『宗……』

 めちゃくちゃ感激する私。
 でも、いいのかな。私のために、宗が犠牲になって。

 こんな私なんかのために……。